バリデーションは医薬品の品質確保を患者様の安全を保証するためのカギです

医薬品の開発・製造を行う際には、バリデーションに関する規制要件に従い、医薬品の品質と患者様の安全を確実に保証しなければなりません。医薬品の品質の保証のカギとなるのは、重要品質特性 (CQA: Critical Quality Attributes) に影響を与えうるリスクを特定し、低減するための原理や管理方法を確立するために必要な高品質なデータを揃えることです。プロセスの理解と高品質なデータ取得といった科学的根拠に基づいたアプローチをとることにより、規制当局とのコミュニケーションが円滑になると同時に、医薬品の品質と患者様の安全を保証することにつながります。

重要工程におけるフィルターおよびシングルユースシステムのバリデーションサポート

Pall™ Life Sciencesは、40年以上に渡り世界各地のお客様へ、フィルターのろ過滅菌性能評価試験やシングルユースシステムに関するバリデーションサービスを提供してきました。グローバルで統一された試験プロトコールとレポートフォーマットで提供される適切なデータにより、医薬品の品質保証を科学的見地からサポートします。

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Accelerator バリデーションサービス概要

ろ過滅菌グレードフィルターの滅菌性能評価試験

最終製品の無菌性を保証するために必要なデータを取得します。

最終製品の無菌性を保証するためにはプロセスパラメーターを確立し、バリデーションを実施することが不可欠です。ろ過による無菌性の保証については、Parenteral Drug Association (PDA) テクニカルレポートNo.26「Sterilizing Filtration of Liquids」において明確なガイドが紹介されています。さらに、ワーストケース条件下でのろ過滅菌グレードフィルターの滅菌性能を証明するデータの取得が規制要件として定められており、承認申請時や承認済みのプロセス条件を変更する際に必要なデータを取得します。

  • 抗菌性確認試験
    適切なバクテリアチャレンジ試験方法を選択するため、試験菌に対するプロセス液の抗菌性を確認します。
  • 適正フラッシング量確認試験
    バクテリアチャレンジ試験に影響を与える抗菌成分を、試験フィルターから除去するための適切なフラッシング条件を確立します。
  • バクテリアチャレンジ試験
    プロセスのワーストケース条件下において、フィルターの有効ろ過面積1 ㎠ あたり10E7 CFU 以上の試験菌をチャレンジし、フィルターにより無菌のろ液が得られることを確認します。
  • プロセスから単離したバクテリアを用いるバクテリアチャレンジ試験
    バイオバーデンをバクテリアチャレンジ試験に使用します。

コンサルティングサービス

リスク評価に基づくろ過滅菌工程の最適化 (SOAR: Sterility Optimization by Assessment of Risk) プログラム

Cytivaは、正式なフィルターバリデーション試験に先立ち、ろ過滅菌工程におけるリスクを科学的根拠に基づいて低減させるための、「リスク評価に基づくろ過滅菌工程の最適化 (SOAR: Sterility Optimization by Assessment of Risk) プログラム」を提供しています。界面活性剤を含む製剤やリポソーム製剤、脂肪乳剤やエマルジョン、およびそれらに類似する製剤などの流体では、細菌がフィルターを通過するリスクが増大することがすでに知られています。

フィルターバリデーション試験が不合格になることで初めてそのリスクが顕在化すると、追加の試験が生じるため、時間的にも費用的にも大きな負担となります。SOARプログラムは、正式なフィルターバリデーション試験の前にプロセス液の挙動を考慮したリスク評価を実施し、ろ過滅菌工程におけるデザインスペースを設定する際に根拠となるデータを取得するサービスです。

適格性評価試験

適格性評価試験には以下の試験が含まれます。

  • 吸着特性試験
    フィルターおよびシングルユース部材へのプロセス液中の成分の回収率を評価します。小スケールでの試験により作成した吸着プロファイルを、フィルターとシングルユースシステムの選定、およびプロセスの適格性評価に使用します。通常は、小スケールで吸着特性試験を実施後、製造スケールでの確認を行います。試験結果は、フィルターの前処理工程や操作パラメーター、または膜材質の選定根拠に使用します。
  • フラッシング試験
    溶出物 (Leachables) や異物の低減を目的としたフラッシング量を設定するための試験を実施します。これにより、プロセスに対するフィルターの影響を制御・最小化することができます。
  • プロセス液による完全性試験因子設定
    水やアルコール溶液などの標準液ではなく、プロセス液を用いたプロセス固有の完全性試験因子を設定します。これにより、ろ過前の完全性試験では、湿潤液の残留による希釈やプロセス液との混合で生じる不具合といった懸念を回避することができ、ろ過後の完全試験では、完全性試験のための水によるフラッシング工程を省略できるので、ろ過前後のプロセスを単純化できます。
  • 適合性試験
    フィルターやシングルユース部材などをプロセス液に接液させた後の、そのプロセス液とプロセスに対する物理化学的な適合性を、ワーストケース条件下で評価します。

抽出物 (Extractables) / 溶出物 (Leachables) 試験

Cytivaは、医薬品業界のスタンダードに沿って、お客様の試験・評価プロセスをサポートします。

多くの業界団体がPall™ Life Sciencesを含むサプライヤーの協力のもとに、適切なリスクアセスメントを実施するアプローチ、分析方法の確立、そしてそのサポートデータの取得に努めてきました。それぞれの業界団体が紹介するガイドには違いがあるものの、どのガイドも品質リスクマネジメントの原則に基づいています。

Cytivaが提供する抽出物 (Extractables) / 溶出物 (Leachables) 試験サービスは、こうした業界のスタンダードに沿ってお客様の試験、評価プロセスをサポートします。モデル溶媒での抽出物の評価を実施し、抽出物データから推定される溶出物の最大投与量に基づいた毒性リスクや、抽出物がプロセス液に及ぼす影響を評価後、溶出物試験の実施の必要性を検討を決定します。

  • 抽出物 (Extractables) 試験
    Cytiva製品の主要なフィルターやシングルユースシステムについては、BioPhorum Operations Group (BPOG) の推奨およびUSP [665]「Polymeric Components and Systems Used in the Manufacture of Drug Products」のガイダンスに基づいたモデル溶媒を選択し、抽出物試験データを提供することが可能です。そのデータがお客様のプロセス液や使用条件に対して適用できないと判断される場合は、ワーストケースを想定したモデル溶媒とプロセス条件、および最適な試験系と分析条件を確立し、お客様のプロセスに合わせた抽出物試験を実施します。
  • 溶出物 (Leachables) 試験
    実際のプロセスにより近い条件でのデータが必要と判断されるケースでは、溶出物試験を実施し、妥当性のあるデータを得る必要があります。基本的にはプロセス液を溶出液として使用しますが、プロセス液中に含まれる成分が、分析条件に影響をおよぼす場合は、適切なプラセボまたは模擬液を選定するなど、お客様のプロセスに特化した試験条件を設計して提案します。溶出物試験から得られたデータは、規制当局へ説明する際にリスク評価の根拠になります。

コンサルティングサービス

抽出物 / 溶出物のデータを適切に解釈し、設定したプロセス条件の妥当性を証明するには専門的な知識が求められます。Pall™ Life Sciencesは、長年の経験から得られた知見をもとに、承認申請に伴うデータの解釈や、毒性学的評価に基づく妥当性の検証を行い、お客様の製造プロセスをサポートします。