エクソソーム精製に利用できる限外ろ過デバイス

限外ろ過は、孔径1 nm - 10 nmのメンブレンを利用して、分子の分画を行なう方法であり、タンパク質や核酸だけでなく、細胞外小胞やウィルスといったそれ自体が機能性を持つ粒子にも濃縮・精製のため使用されています。いかにもこのような細胞外小胞やウィルスの濃縮・精製に利用できる製品とその論文実績を紹介します。

 

 

タンジェンシャルフローろ過 (TFF) ミニメイト

 

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【ラボスケールの濃縮、脱塩、バッファー交換処理を合理化】※デモ機貸出可能!

 

タンジェンシャルフローフィルトレーション (TFF) は、液体サンプルをメンブレン表面と平行に流すことで、メンブレン側に一定の圧力を与え、溶質や小分子をメンブレンに透過させるろ過手法です。

一般的なデッドエンドろ過と比べ、メンブレン面に対して平行に常時灌流されているため、フィルターの目詰まりが起こりにくく、効率的かつ大容量の限外ろ過が実施できます。

ミニメイトEVOシステムは、大容量のタンパク質・核酸精製に使用でき、広範なMWCO (1K-1000K) を持つオメガメンブレンを用意しております。
また、細胞外ナノ小胞であるエクソソームを大量の細胞培養液から精製するアプリケーションにも向いています。
超遠心法と比べ、TFF手法が細胞培養液からのエクソソームの回収率が高いことが報告されており[1]、ミニメイトでの実績もございます[2]。

大容量サンプルの限外ろ過をご検討の方はぜひお問い合わせ下さい。

 

 

 

TFFによるエクソソーム精製の論文実績

 

右図は、MSC細胞の培養液からTFF (Pall, ミニメイト) を利用してエクソソームを精製した際のエクソソームのSEM画像、粒子径分布、フローサイトメトリーの結果を示しています。

 

エクソソームの精製

  1. MSC細胞の培養液を48時間ごとに回収、総量が50 mLになるまで回収を続けた。
  2. 培養液を300g, 10分間遠心し、デブリスを除去した。
  3. TFFシステム (100K) で流量12.5 mL/minで5 mLまで濃縮した。
  4. 最後に保持液を25分間遠心し、マイクロ粒子を除去した。

 

  • DF MSCとEpidural fat MSCからそれぞれエクソソームを精製した。
  • フローサイトメトリーからエクソソームのマーカーであるCD63とCD81を検出した。
  • 粒子径分布より、30-200 nm付近の粒子サイズを確認した。
 
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Sung,SE, et al., Comparisons of Extracellular Vesicles from Human Epidural Fat-Derived Mesenchymal Stem Cells and Fibroblast Cells. Int J Mol Sci. 22, 2889-2900 (2021)

 

 

限外ろ過用ナノセップ遠心ろ過デバイス

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タンパク質・核酸だけでなく、ウィルスや細胞外小胞の精製にも実績あり!

 

ナノセップは、1.5 mLチューブサイズに限外ろ過膜 (オメガメンブレン) を内蔵した限外ろ過用遠心デバイスです。50 - 500 µLのサンプル量に適しており、小スケールのタンパク質や核酸の精製・脱塩に有効です。

近年の研究で、ヒトの鼻咽頭ぬぐい液に含まれるSARS-CoV-2ウィルスの精製に300KのMWCO (分画分子量) のナノセップを利用されています[3]。また、MCF-7や骨芽細胞のエクソソームの精製に300Kのメンブレンを使用した事例もございます[4]。

・迅速な資料処理時間
・低タンパク質吸着性のオメガ (修飾PES) メンブレンを採用
・広範囲な分画分子量
・超音波によるシーリング技術でレシーバーへの濃縮液のリーク防止

 

 

 

 

限外ろ過用アクロプレップフィルタープレート

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多検体のサンプルの限外ろ過工程をハイスループットに!

 

アクロプレップ24フィルタープレートは、タンパク質や核酸サンプルの限外ろ過工程をハイスループットに行なえます。限外ろ過膜としてオメガメンブレン (変性ポリエーテルスルホン) を採用し、1Kから100Kまで広範なMWCO (分子量カットオフ) に対応しています。また、低タンパク質吸着性で、サンプルの高回収率や表面のファウリングの低減に寄与しています。

MWCO
■ 1K (24ウェルのみ)
■ 3K (24, 96ウェルのみ)
■ 10K
■ 30K
■ 100K

タンパク質の濃縮を行なう場合は、保持するタンパク質の分子量の3 - 6倍のMWCOを選択することが推奨されます。ろ液を回収する場合は、MWCOが目的タンパク質の3 - 6倍のメンブレンを選択することをお勧めします。

 

 

参考文献

 

[1] Busatto, S,et al., Tangential Flow Filtration for Highly Efficient Concentration of Extracellular Vesicles from Large Volumes of Fluid. Cells 7,273–283 (2018).

 

[2] Sung,SE, et al., Comparisons of Extracellular Vesicles from Human Epidural Fat-Derived Mesenchymal Stem Cells and Fibroblast Cells. Int J Mol Sci. 22, 2889-2900 (2021).

 

[3] Yoshinari, T. et al., Matrix-Assisted Laser Desorption and Ionization Time-of flight Mass Spectrometry Analysis for the Direct Detection of SARS-CoV-2 in Nasopharyngeal Swabs. Anal. Chem. 94. 4218-4226. (2022).

 

[4] Yousif, G, et al., Exosomes Derived Neuronal Markers: Immunoaffinity Isolation and Characterization. Neuromolecular Med.  (2021)