全体的な医療費を削減しつつ、患者と医療従事者の安全を確保することに役立つ新しいテクノロジーは絶え間なく進歩しており、医療現場では常に必要とされています。細菌・ウイルスおよびその他の汚染物質を除去できる医療用の空気およびガスのフィルターデバイスは、気腹や血液への酸素付加(ガス交換)・酸素濃縮器・ネブライザー、排煙、および医用吸引器の保護などのさまざまなヘルスケアアプリケーションで使用されます。

器械の保護

細孔性の疎水性膜を組み込んだフィルターデバイスは、空気が膜を通過できるようにしながら同時に液体を遮断します。これらのデバイスは、感染の可能性のあるエアロゾル、粒子、液体が医療機器に到達するのを防ぐのに非常に効果的です。ポールの疎水性膜を組み込んだフィルターデバイスのユニークな特性を利用して、医療機器の開発・設計担当者は既存のシステムのパフォーマンスを向上させ、新しい医療製品の設計を強化する柔軟性を得ることができます。Cytivaは米国労働安全法(OSHA)による血液媒介病原体基準 29 CFR 1910.1030の要件を満たし、ならびに米国医療機器・放射線保健センターによって提案されている電動吸引ポンプの細菌フィルター要件に適合するフィルターを提供しています。さらに疎水性メンブレンデバイスを組み込むことによって、メンテナンスコストを削減しながら患者の安全性を向上させることができます。

携帯型の医用吸引器は胃の内容物の排出などの非外科的処置または創傷ドレナージなどの術後処置において患者から体液を除去するために一般的に使用されます。疎水性メンブレンを備えたフィルターデバイスは、生物学的エアロゾル汚染から吸引装置と周囲の空気を保護するために使用されます。これらの用途では、疎水性膜が適切なウォーターブレークスルーの圧力値で維持することが重要です。電動式吸引器や真空吸引器、医療ガスの送気装置などの大手メーカーでは交差汚染から機器を保護するための微生物および液体バリアとして、ポールの単回使用のインラインフィルターデバイスを回路セットの中に組み込んでいます。

医療機器で信頼性の高い微生物へのバリアーを作るために、疎水性メンブレンデバイスは、高い使用圧力や変動する温度などの極端な条件下でも通気量を損なうことなく、細菌やウイルスの保持特性を維持する必要があります。これらのアプリケーションで使用される疎水性膜デバイスは、パフォーマンスを低下させることなく、さまざまな滅菌方法と互換性がなければなりません。Cytivaでは御社での医療機器開発プログラムをサポートするためとして必要な滅菌適合性のデータを用意しております。

ポール・ブランドの医療機器向けOEMフィルターデバイスは、厳しい基準での評価を行い、高品質の基準を満たしていることを確認しています。標準的な手術で発生する可能性のある潜在的に危険な粒子や物質から、医療従事者と患者の両方を保護するために、過去数年を掛けて多くの規制が発出されてきました。機器と患者の間のバリアとして、疎水性の細孔性材料を医療機器に組み込むことにより、危険な化学物質・微生物・微粒子への曝露を最小限に抑えることができます。これらのデバイスは、エアロゾル化した粒子の拡散を減らすことにより、医療従事者を保護することもできます。疎水性のベントの膜材料とフィルターデバイスの業界リーダーとして、Cytivaはお客様の用途に合わせた最適なフィルターデバイスのご選択をお手伝いいたします。

空気・ガスをろ過するフィルターデバイスの選択

ガスが流れる中での粒子状物質の除去には、粒子と細孔性材料の表面の間の通常の相互作用を超えるメカニズムが関係します。疎水性細孔性材料(膜)は、定格孔径の10分の1の粒子を保持できます。これは孔径1 µmの疎水性メンブレンでも、0.1 µmのサイズの粒子を保持できる可能性があることを意味しています。

空気とガスをろ過する場合、必要なバクテリアやウイルスを含め、指定された粒子サイズを効果的に保持しながら、可能な限り低い圧力抵抗で最大流量を達成する最大の孔径を選択します。利用できるろ過メンブレンは多種多様であるため、空気とガスのろ過効率を左右する要因を理解することにより、特定のアプリケーションに適したフィルターデバイスの選択に役立ちます。

空気およびガスろ過でのフィルターデバイスを選択するときに最も頻繁に考慮される基準には、ウォーターブレークスルーの圧力値、差圧、空気流量、および粒子/細菌の保持が含まれます。その他の重要な材料特性には、耐油性および耐薬品性、滅菌方法との適合性があります。

空気流量

御社の医療機器が必要とする流量はどれくらいの値でしょうか?膜を通過する空気の動きが最小限となる受動的なベントのアプリケーションでしょうか、それとも大量の空気を短時間で通過させる必要がありますか?

疎水性フィルターデバイスの空気流量は有効ろ過面積(EFA)とハウジングのデザインだけでなく、孔径サイズや空隙率、差圧などの要因によっても左右されます。

粒子と細菌の保持

空気のろ過に関する最も一般的な誤解の1つは0.2 µmの粒子は、0.2 µm以下の孔径のフィルターでしか保持できないということです。この考え方は常に正しいとは限りません。

ガスが細孔性材料をどのように移動するかという物理的性質により、通常は粒子と細孔のサイズ比が10:1で孔径サイズよりも小さい粒子を保持できます。これは、1.2 µm孔径のメンブレンでも0.3 µmのエアロゾル化された粒子を負荷した試験で99.98%の効率を持つというように明らかな事実です。

疎水性メンブレンの細菌保持能力を検討する場合、0.2 µmより大きい孔径サイズを使用しても、空気およびガスろ過のアプリケーションでは細菌量を減少させることができることを理解することが重要です。

ウォーターブレイクスルー(WBT)

ウォーターブレイクスルーは、水が浸透して疎水性細孔性材料を通過するときの圧力です。この試験では、通常メンブレンの一方を水で満たして、水がフィルターを通過するまで圧力を徐々に上げていきます。

水または液体のバリアとして機能する必要があるアプリケーションに疎水性メンブレンデバイスを選択する場合、デバイスのWBT圧力定格値が、デバイスが受けるであろう最大圧力よりも高いことを確認する必要があります。これにより、フィルターデバイスは、フィルターの設置個所を超えて液体が通過するのを防ぐことができます。

また、疎水性メンブレンは水蒸気を通過させてしまうので、蒸気がフィルターの下流で凝縮する可能性があることを認識することが重要です。

差圧

差圧(∆P)は、フィルター入口で測定された圧力(一次側圧力)とフィルター出口で測定された圧力(二次側圧力)の差です。空気とガスろ過用のフィルターデバイスを選択する場合、下流の流量要件におけるデバイスの圧力降下特性の影響を考慮することが不可欠です。

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